Q.揚げ物は食べないほうがいいですか。
A 病気の有無に関わらず揚げ物を毎日のように食べることは避けたほうがいいでしょう。
揚げ物は揚げ油による脂質と衣による糖質で少量でも高カロリーです。
例えばアジの開き1枚を焼いただけでは約80kcalですが、同じアジをフライにすると280kcalにアップします。
これは1か月毎日食べ続けると体脂肪が約1kg増える計算になります。
ですから、ダイエットや血糖コントロール、脂質コントロールをしたい方には揚げ物の高頻度な摂取はおすすめできません。
しかしもともと揚げ物がお好きな方や、外食や中食が頻回である方にとって、全く食べないというのは難しいですよね。
今回は少しでも低カロリーにするための調理や食べ方の工夫についてご紹介したいと思います。
☆調理・メニュー選択の工夫3点
1)揚げ物の衣は薄くする!
衣を薄くする、すなわち衣を少なくすると、衣の分のカロリーも落ちますが、油を吸う量も減らすことができカロリーカットにつながります。
フライや天ぷらは中身よりも衣のほうに油が多く吸収されます。
具体的な方法
・余計な衣はしっかり払い落としてから揚げる
・使う衣の量かつ吸油量で考えると、おおむね唐揚げ<天ぷら<フライの順でカロリーが高くなる。(吸油量は下表のようになっています)
・フライの時に小麦粉は使わず粉チーズ+パン粉にする。
※冷凍食品の揚げ物は衣が厚いので食べる量に注意しましょう。
2)表面積を小さくする!
こちらも(1)と同じ理由で衣を少なくするための工夫です。
材料の表面積が大きければ衣が多くつき、その分吸油量が多くなるので、同じ重量でも材料の表面積が小さいほどエネルギーが下がります。
例えば、豚カツを一口大に切ってから揚げる VS 1枚そのまま揚げる で比べると、下記のようになります。
衣がつく量が変わり、油で揚げたときに油に触れる面積も小さくなるため油を吸う量(吸油量)が変わることがわかります。
具体的な方法
・できるだけ大きいまま揚げて、食べやすく切って盛ると良い。
3)衣にも一工夫を!
(1)(2)で衣の量によってカロリーが変わることがわかりました。それに加えて、衣にも工夫をするとカロリーダウンを図れます。
例えば、天ぷらの衣は混ぜ方によって吸油率は差はありませんが、付着する衣の量に差がでます。
粘りが出るまで混ぜ合わせた衣よりも、さっくりと混ぜ合わせた衣のほうが、材料につく衣が少なくなります。
衣に使う小麦粉の割合が多い(濃い)衣のほうが材料に付く衣が多くなります。
また、フライで使うパン粉も種類によって吸油率が変わります。
同じ重量の食材、同じパン粉量で、パン粉の種類だけを変えて比較した結果、
市販の乾燥パン粉<手作り生パン粉<市販の生パン粉 の順で吸油率が上がることがわかりました。
衣が細かいものになるほど吸油率は低くなります。
具体的な方法
・天ぷらの衣はさっくり混ぜ、衣の濃さは濃くならないようにする。
・パン粉は粗いものではなく乾燥の細かいパン粉にする。
ちなみに、揚げ油を多くした場合と少なくした場合では、吸油率はやや変わる程度で大差はありませんでした。
少量の油で揚げる(炒め揚げ)ことよりも上記をこだわったほうが良いようです。
揚げ油はサラダ油や米油がおすすめです。ラードで揚げ物をするのは動物性の体に溜まりやすいとされる脂質が増えすぎてしまうので控えたほうが良いでしょう。
☆食べ方の工夫4点
1)できるだけ活動時間に食べる!
夕食時に食べることはおすすめできません。夕食後は活動量も減り、時間も遅くなれば体にため込みやすくなるとされます。
できるだけ昼食時までに済ませておくと影響が出にくいでしょう。
2)揚げ物だけで食べない!
どのような料理も1品食べになると食べすぎにつながることがあります。
食べすぎを防ぐことに加え、脂質の代謝をあげるためにも主食と野菜も食べるようにしましょう。
食事はあくまでもバランスが大切です。
3)揚げたてを食べる!
油は時間がたつと酸化(劣化)して、風味がよくないばかりか、からだに好ましくない油に変わってしまいます。
生活習慣病の引き金となったり、増悪因子となったりすることが知られています。
4)衣の分の主食を調整する!
衣は、小麦粉、パン粉、片栗粉がほとんどのため糖質となります。
血糖値が気になる方はその分主食量を調整すると影響が出にくいでしょう。
よく食卓に並ぶ揚げ物の衣の量をごはん量で換算したものをお示しします。ぜひ参考にしてください。
かといってごはんなしで揚げ物だけという食べ方は(2)の通りやめましょう。
脂質が増えすぎて、血糖値が下がりにくくなったりコレステロール値の悪化を招く可能性があります。
以上を揚げ物をうまく付き合う方法としてご紹介します。
揚げ物を全く食べないようにするのではなく、食べる時は工夫して食べることが大切です。
当院の栄養相談ではこの内容をもう少し具体的にお話することができます。
興味がある方はお気軽に管理栄養士までお声かけください。
参考文献
『はじめての食品成分表 第2版』(女子栄養大学出版部)
『カロリーダウンのコツ早わかり』(女子栄養大学出版部)
『調理のためのベーシックデータ第6版』(女子栄養大学出版部)