橋本病
自身の甲状腺を破壊する自己抗体(サイログロブリン抗体、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)が作られ甲状腺に慢性に炎症を起こす病気です。
甲状腺の破壊により甲状腺機能が低下し内服治療を必要とされる方は全体の1~2割程度です。ヨードを過剰摂取している方ではそれを避け、適切な経過観察によりリスク回避していくことが大切です。女性に多く妊娠や出産に影響をおよぼすことも有ります。当院では経過観察中の患者さまの検査結果を当日に説明するため、通院が一度で済みます。
【橋本病の特徴】
- 甲状腺に慢性の炎症を起こす
- 女性に多い
- 治療が必要な人は1〜2割
- 経過観察が重要
バセドウ病
自身の甲状腺を刺激する自己抗体(TSHレセプター抗体)が原因となり甲状腺ホルモンが増えてしまう病気です。
甲状腺ホルモンが増えるため発汗・動悸・イライラ・不眠、体重減少・手のふるえ・腹痛・下痢などの症状が出現します。甲状腺が大きく腫れることがあります。またTSHレセプター抗体は眼の周囲に炎症を起こすため眼痛や眼周囲の腫れを起こすこともありますが、明らかに目が飛び出す(眼球突出)のは1割程度と言われています。「TSHレセプター抗体」陽性を確認してから治療を開始します。
薬物療法後は甲状腺ホルモンがしばらく安定せず、重篤な副作用が起こる場合があるため、当院では治療効果と副作用判定の採血結果を当日に確認します。手術療法、放射性ヨード療法を選択する場合には提携する高度医療機関への紹介を行います。
【バセドウ病の特徴】
- 甲状腺ホルモンが増える
- 発汗・動悸などの症状
- 治療判定には当日検査が有用
- 眼球突出は有名だが1割程度
破壊性甲状腺炎
くびの痛みと発熱が特徴の「亜急性甲状腺炎」と、くびの痛みのない「無痛性甲状腺炎」があります。甲状腺が壊れ血液にホルモンが漏出するため、血中の甲状腺ホルモンが増加します。「バセドウ病」との鑑別が重要で甲状腺機能検査に加え甲状腺自己抗体と炎症所見から診断します。
当院来院の患者さまの多くは当日に診断が判明します。
鑑別が難しい場合には「尿中総ヨウ素」の測定や「甲状腺シンチグラフィ」にて診断を行います。
結節性甲状腺腫
甲状腺内のできものの総称です。ひとつのこともあれば複数発生する場合もあります(多発性甲状腺結節と呼ばれます)。甲状腺内のできものは良性腫瘍、過形成(腫瘍もどき)、嚢胞(組織液のたまり)、悪性腫瘍、機能性甲状腺結節(甲状腺ホルモンを産生するもの)など様々です。無症状が多く健診や頸動脈エコーなどで偶然見つかります。良性と悪性の鑑別が重要ですが判断が難しい場合には経過観察が必要となります。
当院では甲状腺超音波検査にて結節の形態・血流・硬さ(エラストグラフィ)を評価し、必要に応じて穿刺吸引細胞診(採血針を用いて細胞を吸引し癌細胞の有無を確認する)を行います。月2回(第1、3土曜日午前)、甲状腺外科医による甲状腺腫瘍外来を行っています。