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糖尿病・甲状腺疾患についてよくある質問

2024.7.2

トクホと他の栄養食品の違いはなんですか。

Q. トクホと他の栄養食品の違いはなんですか。

A.特定保健用食品(トクホ)は、ヒトでの効果を立証し、国の審査を受け、消費者庁長官が機能性の表示許可をした食品です。


日本では、機能性を持った食品(※機能性食品)を、食品衛生法、健康増進法をもとに表示・販売されています。
科学的根拠の程度、国の許可があるのか、機能性成分などによって大きく分類すると、一般食品、保健機能食品、特別用途食品に分かれます。

※機能性食品とは
食品成分のもつ生体調整機能を活用して、食品に新しい機能を付与し、その機能が発現されることが科学的に立証された食品のことを言います。
主に機能成分を分離して濃縮し、通常の食品に配合するなどの方法で作られています。

【 一般食品 】
一般食品とは、いわゆる健康食品と呼ばれ、販売業者等が独自の価値観で「健康食品」として販売している食品です。機能性の表示はできません。多くは疫学的研究や動物試験によって生理作用が指摘されたものですが、私たちが本当の価値を判断するのは難しいのが実情です。
健康食品でも有害な作用がある場合があり、過剰摂取による健康障害も問題視されているため慎重に使用する必要があります。
例えば、医薬品に該当しないハーブ類等を利用した食品には規制がなく、輸入品には日本では医薬品に該当する成分も含まれていたり、不純物が多かったりする場合もあるので注意が必要です。
医薬品と同じような効果を暗示させる広告もありますが、医薬品のように一定の品質が確保され製品として製造されているとは限りません。万が一健康被害が起きてしまった場合の救済の仕組みは残念ながらありません。

【保健機能食品】
保健機能食品は、機能性表示食品、栄養機能食品、特別保健用食品(トクホ)の3つに分類されます。
保健機能食品では過剰摂取や禁忌による健康被害を防止するために注意喚起表示が義務づけられています。全て機能性を表示できますが、消費者庁に届け出たり、国の審査を受けたりすることが必要になります。

<栄養機能食品>
栄養機能食品は、1日に必要な栄養成分が不足しがちな場合にその補給のために利用できる食品です。
国が定めた栄養成分(ヒトでの効果の科学根拠が認められている)を、国が定めた表現で機能表示します。すでに、科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば特に届け出をしなくても良いことになっています。身近なものでは豆乳飲料や野菜ジュースなどに表示されているものがあります。

例)ビタミンB1→「ビタミンB1は炭水化物からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」(定型文)

<特定保健用食品(トクホ)>
特定保健用食品とは、生体の生理機能などに影響を与える保健機能成分(食品成分)を含んでおり、特定の保健用途のために利用されることを趣旨とした食品です。
保健効果を表示する場合には、ヒトでの効果が検証され、個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性など科学的根拠に関する国の審査を受け、消費者庁長官から保健機能の表示許可を受けることが必要です。許可された食品には許可マークが表示されています。表示許可の方法で4つに分類されます。
なお、トクホとして許可がおりた食品であったとしても医薬品ではなく食品であるため、疾病名の表示や病態の改善に関する表示はできません。関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合には「疾病リスク低減表示」が認められるようになっています。

例)
カルシウム→若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症率くになるリスクを低減するかもしれません。
葉酸→女性にとって二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。

上記2つは平成13年(2001年)に厚生労働省によって保健機能食品制度が創設されときにできたものですが、機能性を分かりやすく表示した食品の選択肢を増やすことを目的として、平成27年(2015年)に新たに「機能性表示食品」という制度が設立され、保健機能食品の1つとなりました。

<機能性表示食品>
機能性表示食品は、安全性の確保を前提とし、事業者の責任において科学的根拠に基づき特定の保健の目的が期待できる旨を表示することができる食品です。
事業者は安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報等を販売前に消費者庁長官に届け出ることが必要です。届け出のあった情報は消費者庁ウェブサイトで誰でも確認することができます。あくまで事業者の責任によるもので国の審査を受けずに機能性の表示ができます。

【特別用途食品】
特別用途食品(特定保健用食品を除く)は、乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示を行う食品です。
規格又は要件への適合性について、国の審査を受け消費者庁長官の表示許可を受ける必要があります。
昨年(2023年5月)には経口補水液も特別用途食品に含まれました。

【上手に利用するには】
いわゆる健康食品も保健機能食品も、錠剤・カプセル状の製品が多く薬と同じような効果を期待してしまうこともあるかもしれませんが、医薬品ではなくあくまで食品であり、疾病の治療・治癒・予防等を目的として摂取するものではありません。いわゆる健康食品の多くは、販売前に製品としての人での安全性や有効性の確認がほとんどされていないので、どの程度の有害な作用があるか分からないと考えたほうが良いものも多いです。
特定の栄養素を大量に取ると健康被害を受ける場合があるので、適切に使うためにはある程度の知識と注意が必要です。安易に健康食品で栄養の偏りや生活の乱れを解決しようとせず、まずは、日頃の食事、運動、休養の改善を図りましょう。やむを得ず栄養素の不足が生じるときは、あくまで補助的なものとして、機能性のある食品を上手に利用しましょう。保健機能食品のように国や事業者による安全性や機能性の裏付けがあることが製品を選ぶ際の一つの目安と言えます。
摂取する場合は機能性や目安量、作用機序など公開されている情報を充分に確認するようにしましょう。ご自身ではわからない場合は医師や管理栄養士にご相談ください。

参考:消費者庁HP

2023.11.27

体重がなかなか落ちません。食べすぎているのでしょうか。

Q.体重がなかなか落ちません。食べすぎているのでしょうか。

A.体重が落ちていないのなら、運動量や今の身体の状態に対して食べすぎている可能性が高いです。


個人差があるため正確には個別の栄養相談で相談いただくことがおすすめですが、一般的な見解をご回答します。
「体重が維持されている=運動量と食事量が一緒」ということになるので体重減量目標であれば食べすぎです。
一般に以下のような傾向がある方は食べ過ぎてしまっている可能性が高いです。当てはまるものがあるか確認してみてください。

・外食の1人前がちょうど良いと感じる(量が多いと感じない)ことが多い。
・毎回満腹まで食べている。
・満腹でも残すことに抵抗がありすべて完食する。
・大体の食事時間が決まっておらず、欠食がある。
・一口の量が多く、噛む回数が少ない、早食いがある。
・水分補給として甘みのある飲み物を飲んでいる。
・飴やチョコなどをよく食べる。

試しに1週間食事の記録をして客観視するのもおすすめです。当てはまるものがあれば、一度見直してしましょう。
現在の体重あたりではなく、身長と活動量によって必要エネルギー量が決まるので、今の体重を維持する食事量を摂っている可能性が高いです。
上記に当てはまるものがないにもかかわらず、体重が落ちないのであれば運動量(活動量)が不足している、または代謝が落ちていると思われます。

食事量の比較について毎年総務省が出している家計調査で比較してみるというのも客観視できるひとつの方法です。食費が平均以上になっている方は食べ過ぎているかもしれません。
2022年度版を表にまとめたのでご覧ください。

単身世帯、2人以上の世帯でわけています。
都道府県別の集計もされているため北海道のものも、北海道の特徴と一緒に記載しました。
このデータからは、
北海道は、米・芋類・麺・カップ麺・魚・飲料・酒類の摂取が多く、パン・牛肉・野菜の摂取が少ないようです。
物価の関係なのか、牛乳・乳製品、卵、外食・中食(調理食品)の価格は抑えられているようです。

普段の食費と比較していかがでしょうか。
摂りすぎているもの、少ないものを客観視するための材料として参考にしてみてください。
ちなみにタバコや医療にかける金額から、北海道の健康に対する意識は全国と比較すると低めのようです。
この比較を見ると何にお金をかけるのかも考えさせられますね。

体重が落ちない時はまずは状況の確認をしましょう。そのためには生活を振り返る時間と客観視することが大切です。
その後問題となっている行動や状況に対処していきましょう。
なかなか1人では客観視が難しい方、困ったことや聞きたいことがある方は、お気軽に管理栄養士にご相談ください。
応援しています!

2023.10.6

たんぱく質は積極的に摂ったほうがいいですか?

Q.たんぱく質は積極的に摂ったほうがいいですか。

A.過不足ないようにとることがおすすめです。


<たんぱく質について>
たんぱく質は他の栄養素から体内で合成できず、必ず摂取しなければならない栄養素です。
主なはたらきとしては、筋肉など身体を作ること、酵素やホルモンとして代謝を調節すること、全身にものを運ぶこと、抗体として生体防御することなどがあります。
体のたんぱく質は、合成と分解を繰り返しており、「動的平衡状態」を保っています。代謝され一部は体外に排泄されます。
そのため、成長期を終えた成人においてもたんぱく質を食事から補給する必要があります。

<たんぱく質の適正量>
日本人の食事摂取基準2020年版では、特に高齢者はしっかり摂取することが良いとされる内容に改定されました。
加齢にともなって消化吸収能力が落ちたり、筋肉を合成する力が弱くなってきたりすることがわかっています。
筋肉が減ってしまうと、フレイル、サルコペニアと言われる筋力低下を示す状態となり、将来的に歩行ができなくなったり、寝たきりになってしまうことが予想されます。そのような状態を防ぐために、たんぱく質摂取量の下限値が引き上げられています。

実際のたんぱく質の数値をお示しする前に、推奨量と目標量の違いについて説明します。
推奨量は、健康な人を中心として構成される集団で性・年齢別に、ほとんど(97-98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量です。
目標量は、生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量(範囲)とされています。

例えば、日本人の食事摂取基準2020年版によると、50~64歳の男性(体重68kg)では、65g(推奨量)摂っていれば不足はありませんが、生活習慣病を予防するには91~130g(目標量)の摂取を目標とします。基準となる体重(※参照体重 )がそれぞれの年代にあり、その体重に対して実際のタンパク質量を重量(g)で示しているものが日本人の食事摂取基準では掲載されていますが、体重は個人で異なるので、体重当たりに変更したものが下記の表です。

※参照体重…性及び年齢区分に応じ,日本人として平均的な体位を持った者の想定

体重は現在の体重よりも目標としたい体重で考えることが良いと思われます。
見方など疑問点あれば、担当の管理栄養士にお尋ねください。

<摂りすぎについて>
現時点ではたんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分ではないため耐容上限量は設定していません。
ただ目標量(生活習慣病を予防する範囲)の上限は~2.0g/kg程度となっているため、その程度までが現段階では良いと思われます。

<たんぱく質の摂り方>
それぞれの食品にどのくらいのたんぱく質が入るのか大まかに示すと下記のようになります。

主食 ごはん180g…たんぱく質5g
食パン6枚切り1枚…たんぱく質9g
麺類1人前…たんぱく質13g

果物 適正量80kcal分(150~200g)…たんぱく質1g

主菜 肉100g…たんぱく質20g
魚100g…たんぱく質20g
卵1個…たんぱく質6g
納豆1パック…たんぱく質7g
豆腐1/3丁…たんぱく質7g
ちくわ1本…たんぱく質4g (※塩分注意)

乳製品 牛乳180ml…たんぱく質5g
ヨーグルト70g…たんぱく質3g
チーズ20g…たんぱく質5g

野菜 1日350g…たんぱく質5g

見ていただくとわかるように、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品以外にも、主食や果物、野菜類にもタンパク質は含まれます。
例えば筋肉を作るにはいろいろなたんぱく質が必要なことがわかっているので、肉ばかり、魚ばかり、などにならないようにバランスよくとっていただくと良いです。

また、体のたんぱく質は常に合成と分解を繰り返していることから、たんぱく質を食べ溜めすることはできないこともわかっています。
朝昼夕3食とも適正量で摂ることが例えば筋肉を維持する上では重要となってきます。
朝昼はタンパク質が摂れていないけど、夕食はタンパク質を適正の倍とれている、というケースはよくあると思います。
その場合は朝昼は筋肉合成よりも筋肉分解がすすみ、夕は筋合成もできますが余った分は脂肪として蓄えられることもあるため、かえって体重増加につながるケースもあります。あくまで3食適量で食べることが大切です。

さきほどの、50~64歳の男性、体重68kgの方のパターンを考えると、(推奨量65g、目標量91~130g)
※()内は、たんぱく質重量(g)です。
朝 ごはん180g(5g)、野菜120g(1.6g)、味噌汁豆腐20g(3g)、卵1個(6g)、納豆1パック(7g)、牛乳コップ1杯(5g) →660kcal(30g)
昼 ごはん200g(5.5g)、野菜120g(1.6g)、大豆を使った和え物など(5g)、魚100g(20g) →650kcal(30g)
夕 ごはん180g(5g)、野菜120g、肉150g →730kcal(40g)
このような構成で、ざっくりトータルエネルギー2040kcal、たんぱく質100gです。

目標量の下限値は意識すれば達成は可能ですが、上限値(2.0g/kg)はなかなか3食だけで補うことは難しいと思われます。
加えてバランスよく食べないと、たんぱく質も糖質と同じように1gあたり4kcalあるため、しっかりとした運動量が無ければ体重増加につながる可能性もあります。

以上のことから、摂りすぎ、少なすぎを避けて定期的なたんぱく質摂取をしていくことがおすすめです。
確実に足りてない方は積極的に摂取し、摂りすぎていると思われる方は量を見直してみましょう。

2023.5.29

オートミールが良いのは本当ですか?

Q.オートミールが良いのは本当ですか。

A.白米と比べて食物繊維などの栄養素が多く、量を守って食べれば良いでしょう。


まず、オートミール(Oatmeal)とは何かについてお話しします。
原料となるのは、Oats(オーツ)と呼ばれる麦です。日本語では、燕麦(えんばく)、からす麦、オーツ麦などと呼ばれます。オーツ麦は硬く、小麦のようにパンや麺に加工できず主食として食べにくかったですが加工技術が進歩したことで「オートミール(オーツ麦の食事)」として食べられるようになりました。オートミールは加工方法によって種類が複数あり、精白(脱穀)したのちに、蒸して圧扁したロールドオーツや、炒ったあとにひきわりにしたクイックオーツ、インスタントオーツなどがあります。

細かくなればなるほど調理時間は短くなるケースが多いです。インスタントやクイックは2分程度で十分のものもあります。各メーカーのパッケージの調理方法をご覧ください。

オートミールはメーカー毎に異なりますが、およそ1食30g(~40g)が目安量とされています。目安量30g(某社)あたり、エネルギー111kcal、たんぱく質4.4g、脂質2.0g、糖質17.28g、食物繊維3.3g(水溶性1.85g、不溶性1.45g、発酵性食物繊維β-グルカン1.2g)、食塩0.0gです。
目安量を守れば、白米1食150gと比較すると、エネルギーは54%カット、糖質は71%カット、食物繊維は43%アップとなります。1食あたりの糖質量が少なく、食物繊維が豊富なことで緩やかな血糖変動となることが期待できます。よって白米150gからオートミール30gに置き換えるのであればダイエット効果を見込むことができるでしょう。その他に、ダイエット中や簡素化された食事で不足しがちな鉄分やたんぱく質、糖代謝に必要なビタミンB1も一緒にとることができます。

ロールドオーツ

インスタントオーツ

オートミールを実際にどのように食べるのかについてもご質問がよくありますのでお答えします。まず種類ですが、最初は粒が小さいクイックオーツ、インスタントオーツが食べやすいと思います。オートミールは従来の牛乳をかけて食べる方法も良いと思いますが、お米のように食べる方法が個人的には美味しくおすすめです。

☆オートミールおにぎり
・オートミール30g
・水50ml
・混ぜ込みおにぎりの素 適宜
オートミール30gと水50mlを計量し耐熱皿に入れ、電子レンジ500Wで40秒~1分加熱。
おにぎりの素を混ぜ、ラップに包んで成形したら完成。
塩昆布や鰹節+醤油小さじ1でも美味しく食べることができます。

☆かんたんオートミール
・オートミール30g
・和風顆粒だし 2g
・お湯 適宜
オートミール30gと和風顆粒だし2gを計量し耐熱容器に入れる。
お湯をお好みの量入れ1~2分待つと完成。
コンソメや顆粒の鶏ガラだしなどでもおいしく食べることができます。

☆スープがゆオートミール
・インスタントスープ
・オートミール30g
お湯を適量注いで完成。
ミネストローネなどトマトベースだとより食べやすいと思われます。

<食べるときの注意点>
偏りを防ぐこと、食べすぎると便秘になってしまう方もいることを考慮し、1日1回程度がおすすめです。どんなに「体に良い」「○○に良い」と言われているものであっても、適正量でなければ「良い」といは言えなくなりますので適正量で食べることがおすすめです。
(バランスの考え方については前回記事をご覧ください)

うまく取り入れると良い結果も期待できるかもしれません。気になる方はトライしてみるのも良いと思います。

2023.1.31

バランスの良い食事とはどのような食事ですか?

Q.バランスの良い食事とはどのような食事ですか?
A.「バランスの良い食事」は、主食1品、メイン料理1品、野菜料理2品が黄金比と考えます。


食事はバランスが大切、バランス良く食べましょうなど、昔からよく聞くのではないでしょうか。バランスの良い食事とはどんなものか、「バランス」や「良い」という言葉が抽象的かつ主観的な表現なため難しく感じる方も多いと思います。今回は「栄養のバランスが整っている」という観点から具体例でお示ししたいと思います。

まずは、こちらをご覧ください。よくある和食です。

和食1

ごはん150g、味噌汁、鮭の塩焼き1切れ(甘塩)、卵焼き(卵1個)、納豆1パック、漬物小皿1

このメニューをどのように思いますか。和食で彩も良く良い印象がある、このように食べている、という方も多いのではないでしょうか。
実はこちらの食事だと主食1品、メイン3品、野菜料理なし(漬物は含まない)で、エネルギー621kcalとなり、ごはん少なめにも関わらず高エネルギーな食事です。
ごはんは150gのため炭水化物はトータル67gで良いですが、タンパク質は39g、脂質は22gで1食当たりとしてはそれぞれ過剰で、野菜類は味噌汁の具の30g程度しかなく不足しています。また、和食の特徴として塩分過剰となることが多く、こちらは塩分6.2gで1日分の塩分をとっており過剰です。
一見体に良さそうなメニューを組み合わせていても栄養のバランスは過不足が出ており整っているとは言えないのです。

次に、この食事の栄養のバランスを整えるとどのようになるのかをお示しします。

和食2

ごはん150g、味噌汁(具沢山)、鮭の塩焼き1切れ(生)、ほうれん草のお浸し、金平ごぼう

ポイントは「主食1品、メイン1品、野菜2品」という組み合わせにすることです。メイン1品は鮭の塩焼きがあるため、卵焼きは野菜料理に変え、ほうれん草のお浸しにします。同様に納豆は野菜料理に変え、金平ごぼうにします。加えて、ほうれん草のお浸しに鰹節を使って醤油を減らす、金平ごぼうにゴマや唐辛子を使って醤油を減らす、鮭は塩鮭ではなく生鮭を使用する、味噌汁は具沢山にして汁の量を減らす(野菜も増える)、漬物は汁物があるときはカットする、なども行うと、減塩もできてさらに良いでしょう。
以上を変更することで、タンパク質は25g(-14g)、脂質は16g(-6g)となり、エネルギーは515kcalで106kcalカットでき、野菜も160g摂取することができます。炭水化物量はごはん量が同じのため69gで大きく変化しません。減塩の工夫で塩分も3.7gとなり-2.5g減塩することができます。

このようにすることでなぜ栄養のバランスが整ったと言えるのか、少し専門的ですがお話しします。栄養のバランスは、エネルギーを構成する栄養の比率で評価することができます。食事で摂るエネルギーを、たんぱく質で15~20%、脂質で20~30%、炭水化物で50~60%とすると、身体が効率的に働くと考えられています。(これをPFC比と言うことがあります。)

変更前の食事は、たんぱく質25%(過剰)、脂質31%(過剰)、炭水化物44%(不足)であったのに対し、
変更後の食事は、タンパク質19%(適正)、脂質27%(適正)、炭水化物54%(適正)となり指標に近づいています。

よって、毎食栄養素の比率を計算しなくとも栄養のバランスを整えるために、「主食1品、メイン(主菜)1品、野菜料理(副菜)2品」という組み合わせで食べることをおすすめします。

さらに栄養のバランスを整えたい方は、1食あたりだけではなく、メインと野菜料理にバリエーションをつけて1日あたりのバランスも考えてみると良いでしょう。メインは肉・魚・卵・大豆製品が1日1回ずつ登場するととても良いです。例えば朝食は魚だったので、昼食は卵、夕食は肉料理にする、などです。
野菜は緑黄色野菜と淡色野菜を組み合わせます。緑、赤、黄色、白、などいろいろな色を組み合わせると様々な栄養素をとることができます。調理方法も茹でたり炒めたり変えるのも良いでしょう。

近年はダイエットや血糖コントロールについて様々な情報があり、糖質制限やタンパク質の積極的な摂取を謳うものもあります。何かを制限・過剰摂取するなど偏った食事をするということは、栄養のバランスを崩し、塩分オーバー、脂質オーバー、エネルギーオーバーなど望まない結果もついてきてしまうことがあります。

食事は極端なものではなく、偏りのないことが大切と考えます。他の動物のように単一なものだけを食べて健康であり続けることは難しいと思います。
それが昔から言われる「バランスの良い食事」のことであると考えます。ぜひ参考にしてみてください。

2022.8.31

野菜を食べない代わりにサプリメントをとるのはどうですか?

Q.野菜を食べない代わりにサプリメントをとるのはどうですか?
A.サプリメントはあくまでも補完食品で、野菜の代わりにはなりません。


野菜でとらなくとも栄養素はサプリメントでとっているから大丈夫、と思っている方もいらっしゃると思います。
サプリメントは特定の栄養素を補う目的の場合は良いと思いますが、健康を保つ目的であればサプリメントが野菜の代わりとはならないでしょう。

野菜を食べるということは、その栄養素や機能性成分をまるごと摂取するということです。
少し専門的な話になりますが、食品の特性は大きく3つの機能に分類されます。

●一次機能…生命に必須な栄養素の供給源となること。体を作る、エネルギーを作る、体の機能・代謝を調整する。
炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素や水分などを摂る理由が主にこの一次機能を得るためと言えるでしょう。

●二次機能…ヒトが食べるための嗜好性を良くすること。 味の良さ、色、香り、物性など。
有名なところであれば、色素成分のカロテン、リコペン、アスタキサンチン、クロロフィル、アントシアニンなどや、呈味成分の甘味成分、酸味、塩味、苦味、旨味、辛味、渋味、えぐ味などがこの機能に関係しています。食事を楽しく、おいしく食べるために大切な機能です。

●三次機能…生体調節機能といい、ヒトの健康や疾病予防に関わる成分を含んでいること。
昨今の健康志向に伴う特定保健用食品を含む機能性食品の多くがこの機能に注目したものです。
野菜や果物などの植物性食品は、五大栄養素のように生命に必ずしも必要なものではないですが健康や長寿に良いと言われ、非栄養成分である食物繊維とともに、いろいろな疾病の予防に役立つことがわかってきました。
この機能性をもった植物性成分を「ファイトケミカル」といいます。
たとえば、トマトなどに含まれるリコペンは、抗酸化作用や動脈硬化予防が報告されています。
他にもにんじんなどに含まれるプロビタミンAは抗酸化作用、ほうれん草やブロッコリーなどに含まれるクロロフィルは抗酸化作用やコレステロール調整、ごぼうなどに含まれるクロロゲン酸には血圧調整、血糖調整など、様々な機能性が報告されています。
ちなみに機能性をもった動物性成分は、「ズーケミカル」といわれ、魚のEPAやDHA、乳や鶏卵のカロテノイドなどが入ります。しかしズーケミカルは、動物がエサとして摂取した植物性のファイトケミカルに由来するものが多いとされています。

食品は上記3つの機能を持ち、私たちの健康を支えてくれています。
特に三次機能についてはまだまだ研究がなされている最中です。
例えばリコペンのように、二次機能の色素成分として知られていたものが、三次機能も有するものであることがわかってきました。

まだ明らかとなっていないものも含め機能性成分や栄養素が自然界にはたくさん存在しており、それらを食品から摂ることでまるごと吸収することができます。
野菜はビタミン・ミネラルの生命の維持(一次機能)のためだけではなく、嗜好性(二次機能)、健康の維持(三次機能)のためにも食べており、サプリメントだけでは生命の維持には役立つことができても、嗜好性や健康の維持についての機能は補うことが難しいのです。

8月31日は「やさいの日」です。
野菜を効率よく上手に食べるには、彩りの良い野菜をスープや炒めものなどにすることがおすすめです。
栄養素や機能性成分は楽しく、おいしい食事の中から吸収し、健康に役立てましょう。

参考文献:
中河原俊治編著「食べ物と健康Ⅱ 食品の機能」,三共出版,2013年
中村丁次監修「健康増進のしおり2014-2 彩り良く野菜を食べて、生活習慣病予防」,公益社団法人日本栄養士会,2014年

2022.3.31

健康のために食物繊維を摂ろうと思っています。何かおすすめの食品はありますか。

Q.健康のために食物繊維を摂ろうと思っています。何かおすすめの食品はありますか。
A 食物繊維の多い食品だと効率的に摂ることができるでしょう。

健康を意識されておりとても良いですね。食物繊維について復習しながら考えてみましょう。


<食物繊維と健康の関係>
食物繊維は血糖の上昇スピードを緩やかにする、余分なコレステロールを排泄する、余分な塩分の吸収を防ぐなどが期待できます。
食物繊維は主に野菜類から摂取することができます。野菜類の摂取は食事のかさましにもなるので食事のカロリーカットにもつながります。
様々なおいしい料理を長く健康に楽しむことを考えると、食物繊維は欠かせないでしょう。
しかし外食や中食を利用される方や、野菜類を食べ慣れていない方にとってはなかなか習慣的に食べることが難しく、
つい手軽な野菜ジュースやサプリ類で補おうとしてしまいやすい傾向があります。

<食物繊維の目標量>
日本人の食事摂取基準では食物繊維の目標量は下記の通りです。

18歳~64歳の女性は18g以上、男性は21g以上
65歳以上の女性は17g以上、男性は20g以上

ちなみに、糖尿病治療ガイドラインでは1日20g以上、脂質異常症診療ガイド・高血圧診療ガイドでは野菜類の積極的な摂取と記載されています。
生活習慣病があってもなくても食物繊維の摂取は必要のようです。

<食物繊維量比較>
食物繊維を含む食品100g(生・可食部)当たりと、おおむね1回量となる量当たりの食物繊維量を表にしました。比較してみましょう。

☆野菜編

食物繊維-野菜編

☆野菜以外編

食物繊維-野菜以外編

☆果物
過去の記事をご覧ください。

☆玄米が白米よりも食物繊維が少なくなっているワケ
食品成分表は年々更新されており、2018年以降、一部の食品の食物繊維量は測定方法が更新されました。
一部の食品のみですから、現在は測定方法が混在(A法、P法)しており、データの見比べが難しくなっています。
白米は、以前の方法(P法)では100g当たり食物繊維0.3gでしたが、新しい測定方法(A法)では1.5gとなりました。
玄米は、以前の方法(P法)では1.4gですが、新しい測定方法(A法)による結果はまだ公表されていません。
よって見かけ上、玄米より白米のほうが食物繊維が多いという現象がおきています。
玄米が食物繊維を摂るうえで意味を成さなくなったわけではないのでご安心ください。
ライ麦パンや全粒粉パンも同様にまだ新しい測定方法(A法)のデータがありません。

<食物繊維の具体的な摂り方>
日本人の食事摂取基準では、野菜の目標量は1日350g以上のため、1食当たり野菜120g=小鉢2杯分を考えると
野菜から1食当たりおおよそ2g以上の食物繊維が摂取できるでしょう。

例えば、バランスよく食事をとった場合

1食ごはん150g×3食、1食野菜小鉢2杯(約120g)×3食、
大豆製品を1日1品、きのこ類・海藻類を1日2品、果物適正量で1日1回、肉・魚・卵適宜

を摂取すると食物繊維目標量1日20gを達成することができます。
(ごはん1食2.3g×3食、野菜1食2.0g×3食、大豆製品1品2.0g、キノコ・海藻1品2.0g×2、果物適正量2.0g、トータル21g)

まとめると、
☆1日野菜を350g以上食べる
☆大豆製品を1日1品は食べる
☆きのこや海藻類も1日2品食べる
☆主食は3食適正量食べる
と、十分な食物繊維が摂れていると言えるでしょう。

主食も大切な食物繊維の摂取源ですから、糖質制限をした場合は大豆製品や野菜をより多く摂取する必要があることを知っておきましょう。
野菜350g以上食べることが達成できないのであれば、
代わりにきのこ・海藻類の品数を増やすこと、食物繊維量の多い野菜を選ぶようにすることなどの工夫が大切です。
上記のポイントで達成できない項目があれば、主食を精製されてないもの(玄米やライ麦パンなど)にすると良いでしょう。


以上をふまえて最後に少しだけ私見をお伝えすると、おすすめの食材の1つとしてブロッコリーをあげます。
食物繊維量が多いこと、緑黄色野菜でありビタミン類も豊富であること、冷凍商品もあり手軽であること、
歯ごたえがあり満腹感につながること、ごはんのおかずとしないケースが多く野菜先の食べ方を実践しやすいことが理由です。
冷凍ブロッコリーであれば100g当たり食物繊維4.4g、1房15g程度と推定すると、4房で2.0g以上の食物繊維をとることができます。
電子レンジで解凍し鰹節と醤油で和えるだけでも十分です。
今まで食べていなかった方は1日1回程度食事にとりいれてみるのも良いのではないでしょうか。

2022.2.24

揚げ物は食べないほうがいいですか。

Q.揚げ物は食べないほうがいいですか。
A 病気の有無に関わらず揚げ物を毎日のように食べることは避けたほうがいいでしょう。

揚げ物は揚げ油による脂質と衣による糖質で少量でも高カロリーです。
例えばアジの開き1枚を焼いただけでは約80kcalですが、同じアジをフライにすると280kcalにアップします。
これは1か月毎日食べ続けると体脂肪が約1kg増える計算になります。
ですから、ダイエットや血糖コントロール、脂質コントロールをしたい方には揚げ物の高頻度な摂取はおすすめできません。
しかしもともと揚げ物がお好きな方や、外食や中食が頻回である方にとって、全く食べないというのは難しいですよね。
今回は少しでも低カロリーにするための調理や食べ方の工夫についてご紹介したいと思います。


☆調理・メニュー選択の工夫3点
1)揚げ物の衣は薄くする!
衣を薄くする、すなわち衣を少なくすると、衣の分のカロリーも落ちますが、油を吸う量も減らすことができカロリーカットにつながります。
フライや天ぷらは中身よりも衣のほうに油が多く吸収されます。

具体的な方法
・余計な衣はしっかり払い落としてから揚げる
・使う衣の量かつ吸油量で考えると、おおむね唐揚げ<天ぷら<フライの順でカロリーが高くなる。(吸油量は下表のようになっています)
・フライの時に小麦粉は使わず粉チーズ+パン粉にする。

※冷凍食品の揚げ物は衣が厚いので食べる量に注意しましょう。

①吸油率

 

2)表面積を小さくする!
こちらも(1)と同じ理由で衣を少なくするための工夫です。
材料の表面積が大きければ衣が多くつき、その分吸油量が多くなるので、同じ重量でも材料の表面積が小さいほどエネルギーが下がります。
例えば、豚カツを一口大に切ってから揚げる VS 1枚そのまま揚げる で比べると、下記のようになります。
②カツ
衣がつく量が変わり、油で揚げたときに油に触れる面積も小さくなるため油を吸う量(吸油量)が変わることがわかります。

具体的な方法
・できるだけ大きいまま揚げて、食べやすく切って盛ると良い。


3)衣にも一工夫を!
(1)(2)で衣の量によってカロリーが変わることがわかりました。それに加えて、衣にも工夫をするとカロリーダウンを図れます。
例えば、天ぷらの衣は混ぜ方によって吸油率は差はありませんが、付着する衣の量に差がでます。
粘りが出るまで混ぜ合わせた衣よりも、さっくりと混ぜ合わせた衣のほうが、材料につく衣が少なくなります。
衣に使う小麦粉の割合が多い(濃い)衣のほうが材料に付く衣が多くなります。

また、フライで使うパン粉も種類によって吸油率が変わります。
同じ重量の食材、同じパン粉量で、パン粉の種類だけを変えて比較した結果、
市販の乾燥パン粉<手作り生パン粉<市販の生パン粉 の順で吸油率が上がることがわかりました。
衣が細かいものになるほど吸油率は低くなります。

具体的な方法
・天ぷらの衣はさっくり混ぜ、衣の濃さは濃くならないようにする。
・パン粉は粗いものではなく乾燥の細かいパン粉にする。

ちなみに、揚げ油を多くした場合と少なくした場合では、吸油率はやや変わる程度で大差はありませんでした。
少量の油で揚げる(炒め揚げ)ことよりも上記をこだわったほうが良いようです。
揚げ油はサラダ油や米油がおすすめです。ラードで揚げ物をするのは動物性の体に溜まりやすいとされる脂質が増えすぎてしまうので控えたほうが良いでしょう。

☆食べ方の工夫4点

1)できるだけ活動時間に食べる!
夕食時に食べることはおすすめできません。夕食後は活動量も減り、時間も遅くなれば体にため込みやすくなるとされます。
できるだけ昼食時までに済ませておくと影響が出にくいでしょう。

2)揚げ物だけで食べない!
どのような料理も1品食べになると食べすぎにつながることがあります。
食べすぎを防ぐことに加え、脂質の代謝をあげるためにも主食と野菜も食べるようにしましょう。
食事はあくまでもバランスが大切です。

3)揚げたてを食べる!
油は時間がたつと酸化(劣化)して、風味がよくないばかりか、からだに好ましくない油に変わってしまいます。
生活習慣病の引き金となったり、増悪因子となったりすることが知られています。

4)衣の分の主食を調整する!
衣は、小麦粉、パン粉、片栗粉がほとんどのため糖質となります。
血糖値が気になる方はその分主食量を調整すると影響が出にくいでしょう。
よく食卓に並ぶ揚げ物の衣の量をごはん量で換算したものをお示しします。ぜひ参考にしてください。
③衣-ごはん量換算

かといってごはんなしで揚げ物だけという食べ方は(2)の通りやめましょう。
脂質が増えすぎて、血糖値が下がりにくくなったりコレステロール値の悪化を招く可能性があります。


以上を揚げ物をうまく付き合う方法としてご紹介します。
揚げ物を全く食べないようにするのではなく、食べる時は工夫して食べることが大切です。
当院の栄養相談ではこの内容をもう少し具体的にお話することができます。
興味がある方はお気軽に管理栄養士までお声かけください。

参考文献
『はじめての食品成分表 第2版』(女子栄養大学出版部)
『カロリーダウンのコツ早わかり』(女子栄養大学出版部)
『調理のためのベーシックデータ第6版』(女子栄養大学出版部)

2021.10.6

栄養成分表示を見るように言われました。何を見たらいいのですか?

Q 栄養成分表示を見るように言われました。何を見たらいいのですか。

A どの栄養素も大切ですが、まずはカロリー(熱量)を見るようにしましょう。

近年、料理をしなくてもすぐに食べられる食品がたくさんあり、多くの人が自分で食べるものを選択できるようになりました。
食べたいものを食べられるようになったからこそ、より食べ物に気を配らなければならなくなりました。

市販されている食品(容器包装に入れられた加工食品および添加物)には、
2020年4月1日から新たな食品表示制度が完全施行となり、栄養成分表示が義務化されました。
この表示は、私たちが適切な食生活を実践していくためにつくられました。
食品表示基準別表第9に掲げられ、表示項目、基準、順番など詳細に決められています。
項目は 義務、推奨、任意 とわかれます。


栄養成分表示

例えば炭水化物は義務表示ですが、糖質は任意表示となっています。
炭水化物は糖質と食物繊維から構成されます。主に血糖値を考慮した時に見ていただきたいのは糖質ですが、
記載されていない場合は炭水化物量を確認すると良いでしょう。

さて、栄養成分表示の見方について説明します。
栄養成分表示は見る順番が大切です。以下の順番で見るようにしましょう。



手順1) 最初にカロリー(熱量)を見る
必ず見てほしいものです。たくさん見るのが大変という方は、カロリーだけでも見るようにしましょう。
カロリーを最初に見ることでふるいにかけられ、明らかな糖質過多、脂質過多が起きにくくなります。
目安量はそれぞれ異なるので担当の管理栄養士に確認しましょう。

手順2) 糖質または炭水化物を見る
糖質または炭水化物だけのチェックだと、意外と脂質でカロリーが摂れている、ということも起きてしまいやすいです。
糖質(炭水化物)だけのチェックはオススメできません。
こちらも目安量は担当の管理栄養士に確認しましょう。

手順3) 食塩相当量を見る
塩分は血圧や食欲コントロールのために大切です。
日本人の1日の塩分摂取の目標量は女性6.5g未満、男性7.5g未満ですから、
1食4g以上は多いです。2~3gほどにおさまると良いでしょう。

手順4) その他、脂質やたんぱく質などを見る
1~3がチェック出来たら、他の気になる栄養素をみましょう。
例えば、コレステロールや血糖が気になる方は脂質を見ることをオススメします。
筋肉をつけたい方はたんぱく質を見ることをオススメします。

● 強調表示について ●

栄養成分の量及び熱量について「○○含有」、「低○○」などのような強調表示を行う場合の基準も詳細に定められています。
例えば熱量について、
100mlあたり、5kcal以内なら「ゼロカロリー」「ノンカロリー」など含まない旨を、20kcal以内なら「低カロリー」「カロリー控えめ」などの低い旨の表示ができます。
(100gあたりであれば、含まない旨は同じ5kcal以内、低い旨は40kcal以内となります。)
全くの「ゼロ」ではない場合があるので、過剰に信じすぎないことも大切です。


栄養成分表示を確認することは、病気の有無に関わらず、私たちの健康づくりのために大切です。
実際にみる習慣をつけた方は「思ったより多かった」「こっちの方が少ないのか」
「糖質が少なくてもカロリーが高いものがあるんだ」などの新たな発見があったという感想をよくお聞きします。
栄養成分表示をみる習慣をつけるようにしましょう。

2021.5.31

野菜は目標量の350g以上であれば1日1回でも良いですか?

Q 野菜は目標量の350g以上であれば1日1回でも良いですか。

A 野菜は毎食食べることが大切です。

野菜がなぜ必要なのかを考えてみましょう。


1)野菜で食事のかさましをして食べ過ぎを防ぐ

野菜は「かさ(量)」に対して低カロリーであるものがほとんどです。
野菜がないとついつい主食や主菜を多く食べ過ぎてしまう傾向があります。
主食や主菜はカロリーが低いものではないですから、
調理方法で味付けや油の量を控えめにしても
必要以上に「かさ(量)」を食べると高カロリーとなってしまうことがあります。
低カロリーで知られる鶏ささみ肉は100gで98kcalあるのに対し、野菜はほとんどが100gで10~30kcal程度です。

2)野菜先の食べ方で食後の高血糖を防ぐ

今や知らない人はいないのではないかと思われる野菜先の食べ方、通称ベジファーストは食後の高血糖を防ぐことが報告されています。
食後の高血糖を防ぐことができると、血糖コントロールはもちろん体重増加も起こりにくくなるので太りにくい食べ方とも言えるでしょう。

3)食べたものを効率よくエネルギーに換えて体の調子を整える

食事で摂った炭水化物、たんぱく質、脂質などの栄養素が体に入ってエネルギーに換わるにはビタミン類が必要となります。
食べたものを効率よくエネルギーに換えるか脂肪に換えるかは、どれだけバランスを考えた食事を摂るかどうかで決まると言っても良いと思います。
野菜に含まれるビタミンやミネラルは身体で起こる様々な代謝を上げたり不要な塩分を排出したりしてくれます。
加えて食物繊維は余分なコレステロールの吸収を防いでくれます。


トータルは同じでも1食でも野菜を抜くともったいないことがたくさんあるのです。
日本人の野菜の目標量は1日350g以上、1食120g以上ですが、
これは1食当たり約小鉢2個分で達成できます。
野菜を食べているのにあまり成果を感じられない…という方は、
さらに1食の野菜量を増やすのではなく3食食べることができているかをまず見直してみましょう。

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