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糖尿病・甲状腺疾患についてよくある質問

2023.1.31

バランスの良い食事とはどのような食事ですか?

Q.バランスの良い食事とはどのような食事ですか?
A.「バランスの良い食事」は、主食1品、メイン料理1品、野菜料理2品が黄金比と考えます。


食事はバランスが大切、バランス良く食べましょうなど、昔からよく聞くのではないでしょうか。バランスの良い食事とはどんなものか、「バランス」や「良い」という言葉が抽象的かつ主観的な表現なため難しく感じる方も多いと思います。今回は「栄養のバランスが整っている」という観点から具体例でお示ししたいと思います。

まずは、こちらをご覧ください。よくある和食です。

和食1

ごはん150g、味噌汁、鮭の塩焼き1切れ(甘塩)、卵焼き(卵1個)、納豆1パック、漬物小皿1

このメニューをどのように思いますか。和食で彩も良く良い印象がある、このように食べている、という方も多いのではないでしょうか。
実はこちらの食事だと主食1品、メイン3品、野菜料理なし(漬物は含まない)で、エネルギー621kcalとなり、ごはん少なめにも関わらず高エネルギーな食事です。
ごはんは150gのため炭水化物はトータル67gで良いですが、タンパク質は39g、脂質は22gで1食当たりとしてはそれぞれ過剰で、野菜類は味噌汁の具の30g程度しかなく不足しています。また、和食の特徴として塩分過剰となることが多く、こちらは塩分6.2gで1日分の塩分をとっており過剰です。
一見体に良さそうなメニューを組み合わせていても栄養のバランスは過不足が出ており整っているとは言えないのです。

次に、この食事の栄養のバランスを整えるとどのようになるのかをお示しします。

和食2

ごはん150g、味噌汁(具沢山)、鮭の塩焼き1切れ(生)、ほうれん草のお浸し、金平ごぼう

ポイントは「主食1品、メイン1品、野菜2品」という組み合わせにすることです。メイン1品は鮭の塩焼きがあるため、卵焼きは野菜料理に変え、ほうれん草のお浸しにします。同様に納豆は野菜料理に変え、金平ごぼうにします。加えて、ほうれん草のお浸しに鰹節を使って醤油を減らす、金平ごぼうにゴマや唐辛子を使って醤油を減らす、鮭は塩鮭ではなく生鮭を使用する、味噌汁は具沢山にして汁の量を減らす(野菜も増える)、漬物は汁物があるときはカットする、なども行うと、減塩もできてさらに良いでしょう。
以上を変更することで、タンパク質は25g(-14g)、脂質は16g(-6g)となり、エネルギーは515kcalで106kcalカットでき、野菜も160g摂取することができます。炭水化物量はごはん量が同じのため69gで大きく変化しません。減塩の工夫で塩分も3.7gとなり-2.5g減塩することができます。

このようにすることでなぜ栄養のバランスが整ったと言えるのか、少し専門的ですがお話しします。栄養のバランスは、エネルギーを構成する栄養の比率で評価することができます。食事で摂るエネルギーを、たんぱく質で15~20%、脂質で20~30%、炭水化物で50~60%とすると、身体が効率的に働くと考えられています。(これをPFC比と言うことがあります。)

変更前の食事は、たんぱく質25%(過剰)、脂質31%(過剰)、炭水化物44%(不足)であったのに対し、
変更後の食事は、タンパク質19%(適正)、脂質27%(適正)、炭水化物54%(適正)となり指標に近づいています。

よって、毎食栄養素の比率を計算しなくとも栄養のバランスを整えるために、「主食1品、メイン(主菜)1品、野菜料理(副菜)2品」という組み合わせで食べることをおすすめします。

さらに栄養のバランスを整えたい方は、1食あたりだけではなく、メインと野菜料理にバリエーションをつけて1日あたりのバランスも考えてみると良いでしょう。メインは肉・魚・卵・大豆製品が1日1回ずつ登場するととても良いです。例えば朝食は魚だったので、昼食は卵、夕食は肉料理にする、などです。
野菜は緑黄色野菜と淡色野菜を組み合わせます。緑、赤、黄色、白、などいろいろな色を組み合わせると様々な栄養素をとることができます。調理方法も茹でたり炒めたり変えるのも良いでしょう。

近年はダイエットや血糖コントロールについて様々な情報があり、糖質制限やタンパク質の積極的な摂取を謳うものもあります。何かを制限・過剰摂取するなど偏った食事をするということは、栄養のバランスを崩し、塩分オーバー、脂質オーバー、エネルギーオーバーなど望まない結果もついてきてしまうことがあります。

食事は極端なものではなく、偏りのないことが大切と考えます。他の動物のように単一なものだけを食べて健康であり続けることは難しいと思います。
それが昔から言われる「バランスの良い食事」のことであると考えます。ぜひ参考にしてみてください。

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